その1. ロクでもない過去

 

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【登場人物】

 

ユージ(25歳)

この物語の主人公。エサカ運送に勤めるトラックドライバー。

トラックドライバー歴3年。月収25万円。

 

 

 

【その1. ロクでもない過去】

 

 

 

「それじゃぁユージくん、気をつけて行ってきてね~」

 

 

「了解ですよー!!」

 

「ユージくん、壊れやすい荷物入っているので丁寧に運んでな~」

 

「任せといてください!!」

 

さて、今日は天気も良いし、荷物量もそんなに多くないので、

余裕を持って気持ち良く仕事が出来そうやな・・・

 

 

俺の名前はユージ。

 

年齢は25歳。

 

エサカ運送のトラックドライバーだ。

 

 

 

取引先からも、親しみを込めて「ユージくん」と名前で呼ばれる、

チョットした人気者だ。

 

今は、このトラックドライバーという仕事が楽しくて仕方がない。

 

天職だと思っている。

 

入社3年目で、まだまだ未熟者ではあるが、

将来は自分の会社を作り、運送会社の社長になりたいと思っている。

 

そのために、今は「修行中」だと考え、皆が嫌がる仕事なども率先してやっている。

 

そして、こんなロクでもない俺を拾ってくれた社長への恩もある。

 

 

ロクでもない俺・・・

 

ホント俺はロクでもない男だった・・・

 

 

 

更に3年前(22歳の時)・・・

 

 

地元の高校を出て、ロクに就職もせず、様々なアルバイトを転々とした。

 

・ガソリンスタンド

・ファミレス

・ラーメン屋

・居酒屋

・祇園のキャバクラのボーイ

etc…

 

最後の祇園(ぎおん)のキャバクラのボーイは結構楽しかったので、

この世界で生きていこうかな、と思っていたが、

「居酒屋で働いている。」と言っていたのが親にキャバクラだとバレて、

「居酒屋はまだ許せるが、キャバクラはアカン!! 今すぐ辞めなさい!!」

と言われ、しょーがないので辞めた。

 

親に辞めさせられたのは腹が立ったが、

「絶対辞めたくない!!」とまで思う仕事でもなかったので、

祇園のキャバクラのボーイの仕事を辞めたことに対しては

そんなに後悔していない。

 

 

祇園のキャバクラのボーイを親にムリヤリ辞めさせられ、

これからど~しよっかなぁ~っと考えながらも、

どこかの会社に社員として勤めるという気には全くなれず、

無駄に時間だけが過ぎて行っていた。

 

 

 

ある夜のこと・・・

 

 

高校からの友人の森本と夜の四条河原町をプラプラ歩いていて、

今夜も、俺が前に働いていたキャバクラの『牛若丸』に行くかどうか話していた。

 

ちなみに、その『牛若丸』にはさくらちゃんというNo.1ホステスがいる。

 

俺のお気に入りの女の子だ。

 

『牛若丸』で働いていた時からさくらちゃんの事は気に入っていて、

『牛若丸』を辞めた後は、たまに客としてさくらちゃんに会いに行っている。

 

仕事もしていないのでキャバクラに飲みに行っている場合じゃないのだが、

今までの貯金と、オカンからたまにもらう小遣いで、

何とか飲み代を捻出している。

 

財布の中身を見れば一万円しか入っていなかったが、

金がなくなればまたオカンに小遣いをせびればいいや・・・

という軽い気持ちでいる。

 

でもさすがにボチボチ仕事をしないとヤバイかな、

という気持ちもなくはないが・・・

 

 

 

 

そして、森本と今夜も『牛若丸』に行こうと決まり、

『牛若丸』目指して四条大橋を渡りきった時、

「プルル・・・」と携帯がなった。

 

オヤジからだった。

 

「何の用だよ!」と思いながら、面倒くさそうに電話に出ると、

 

「お母さんが倒れた。 ユージ、お前は今どこにいるんや!

お母さんは今から救急車でクミヤマ病院へ運ばれる。

今すぐクミヤマ病院へ来なさい!!」

 

 

その2.へ続く・・・