その4. 中村社長と浅井部長との出会い

 

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もくじはこちら

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前回までに登場した人物はこちら

 

 

 

【その4.  中村社長と浅井部長との出会い】

 

 

翌日の昼・・・

 

 

森本と一緒に、行きつけのマクドナルドでハンバーガーを食っている。

 

 

 

 

ここのマクドナルドは、俺のお気に入りの子が働いていて、

最近、森本とよく来ている。

 

俺のお気に入りの子は、名札を見る限り『千秋』という名前のようだが、

それ以上の事は今のところ分からない。

 

彼氏がいるかいないかだけでも知りたいのだが・・・

 

 

今日もいつも通り、お気に入りの千秋ちゃんが注文を聞いてくれたのだが、

頭は昨晩のオヤジの話でいっぱいだった。

 

「ワシの知り合いで運送会社の社長をしている者がおる。

ソイツにお前を面倒見てくれへんか・・・と言っておいた。

とりあえず一度会社に来るように言っていたので明日行ってこい!」

 

で、何を期待しているわけでもなかったが、

とりあえず森本を呼びつけたわけだ・・・

 

森本に、昨晩オヤジから聞いた話を話したら、

予想通りのリアクションが返ってきた。

 

 

「お前がトラックドライバー・・・!!?? 

原チャリが愛車のお前が・・・??」

 

 

「そうなんや・・・ とりあえず今からそのエサカ運送に行かなアカン。

会社まで付いて来てくれ!」

 

 

そして、エサカ運送に電話をすると、社長が電話に出て、

「話はキミのお父さんから聞いている。 今から会社に来なさい。」

と言われた。

 

 

そして、森本の愛車のBMWでエサカ運送に向かった。

 

 

エサカ運送の場所は、昨晩オヤジから聞いていたのですぐに分かった。

 

エサカ運送に到着すると従業員と思われる35歳くらいの男性が、

汗を垂らしながらトラックを洗っていた。

 

 

「こんにちはー!!」

 

 

俺らを見るなり大きな声で返事をしてくれた。

 

この人物が、のちに、俺と森本の教育係となる

“社内一怖い”浅井部長だ。

 

 

 

普段、返事をすることもないし

されることもない環境で過ごしてきた俺にとっては、

大きな声で返事をされたことによって、より緊張の度合いが増した。

 

 

「こ、こんにちは・・・ 

面接に来たんですけど・・・??」

 

 

「面接ですか!? しばらくお待ちください!!」

 

「運送屋の割にやけに丁寧やな・・・ なんかイメージと違うな・・・」

と思いながらしばらく待った。

 

1分程待った後、浅井が応接室まで案内してくれた。

 

愛車のBMWでエサカ運送まで送ってくれた森本も、

なぜか俺と一緒に案内されている・・・

 

応接室には社長の中村が既に座っていた。

 

 

 

「よろしくお願いします・・・」

 

社長の中村は、当然のように俺一人が応接室に入ってくると思っていたのか、

俺と森本の2人が入ってきた時に一瞬目が丸くなったが、

すぐに「まぁ、座りなさい。」と言って、俺と森本を迎え入れてくれた。

 

「それにしても、ホント森本は空気の読めへん奴や・・・」と思ったが、

そこに関してはとっくの昔に諦めている。

 

「どちらが、ユージくんかな?」

 

「はい、私です!」

 

「で、隣の彼は・・・??」

 

「私の友人で森本と言います!」

 

「そうか・・・君たちはいくつや・・・??」

 

「二人とも22歳です!」

 

「そうか・・・ ワシとユージくんのお父さんは小学校時代からの友人や。

小学校と中学校を共に野球をして過ごした仲でもある。

高校はそれぞれ別の高校に行ったけど、

未だに連絡を取り合っている友人なんや。」

 

「ユージくんのお父さんは銀行に勤めているけど、

ユージくんはそっちの道は目指さなかったのかな・・・??」

 

「は、はい・・・」

 

銀行員どころか、足し算はふた桁以上になると

電卓がなければ解ける自信がない。

 

森本は、中村社長が「銀行員」の話をした途端に、

下を向いて「プッ」と笑った。

 

相変わらず空気の読めへん奴や・・・

 

その後は、俺と森本の事よりも、中村社長からは、

自身の仕事に対する思いや人生観、

夢や人生の目的などを一時間程聞かされた。

 

途中、森本が2回程アクビを我慢していたのに気付いたが、

俺も久しぶりに退屈な話を聞かされ睡魔に負けそうになっていた。

 

そんな俺らにいい加減気付いたのか、

中村社長から遂に採用の言葉が飛び出した。

 

「それじゃあ、明日から2人とも来なさい!」

 

「はい!」と俺が言う前に、森本が返事をした。

 

 

「ありがとうございます・・・!!」

 

 

 

中村社長は、俺と森本の二人で面接に来たと勘違いしていたし、

そして、なぜか森本も

エサカ運送でトラックドライバーとして働く気満々になっていた。

 

「森本と一緒にトラックドライバーか・・・

まぁ、楽しくなりそうやな・・・」

 

 

森本も同じ気分らしく、まだ見ぬ世界に二人とも興奮していた・・・

 

 

その5.へ続く・・・