その26. 中村社長に独立の報告

 

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【その26. 中村社長に独立の報告】

1年後・・・(ユージ28歳・・・)

『広報部長』兼『営業マン』に就任してから約1年。

俺はがむしゃらに広報と営業の仕事をしてきた。

田代社長から教わった『マイメディア』の使い方をもとに、

この1年間がむしゃらに働いてきた。

そのおかげで、京都のド田舎にある20人規模の運送屋にすぎない

エサカ運送の名前は、多くの人に知られるようになった。

そして、この1年間で新規の取引先も数件増えた。

営業の仕事は決して簡単ではなかったが、

皆が言うほど難しいと感じることはなかった。

普段から、『マイメディア』で俺自身の思いなどをオープンにしていたことで、

『マイメディア』が第2のユージとして

24時間365日働いてくれたということが大きい。

俺が営業でやる事といえば、

俺自身のメディアを見てもらうように仕向ける事だけだった。

見込み客が、何かのきっかけで俺のメディアを見てくれると、

ほとんどのケースで見込み客の方から、

「また会いたい。」

と言ってくれた。

また、俺の営業成績が良かった理由として、

浅井部長を始めとする現場の協力ももちろんあった。

「お前が取ってきた仕事は俺に任せとけ!

お前が頑張って取ってきた仕事は、何が何でも俺がモノにしてやる!!」

と浅井部長が言ってくれたことで、俺自身も営業がしやすかった。

ホント、浅井部長にはこの6年間いろいろと助けられた。

そして、今俺は、6年間お世話になったエサカ運送を退職し、

独立して俺自身の運送会社を立ち上げようとしている・・・

エサカ運送の応接室・・・

「思い切った決断やな・・・ 応援するよ。」

「すみません、急な話で・・・」

エサカ運送の応接室で、中村社長に“独立”をすることを報告している。

この応接室は、6年前に森本と一緒に面接してもらった部屋だ。

「あれから6年が経つか・・・ 君も森本も立派になったなぁ~・・・」

「ありがとうございます!!」

「森本も君に付いて行くのかな・・・??」

「いや、彼にはエサカ運送に残ってもらいます。

独立は私1人でやります。

彼には、まだまだエサカ運送で頑張ってもらわないといけません。」

「そっか・・・」

エサカ運送には大変お世話になった。

当時22歳だったロクでもない俺を拾ってくれた中村社長には感謝している。

中村社長は、俺だけではなく森本も一緒に面倒を見てくれた。

あの森本でさえ、「中村社長に足向けて寝たらアカンよな~。」と言っている。

森本に独立する話を打ち明けた時、正直、森本は反対した。

「ユージがエサカ運送を辞めるなら俺も辞める!

そして、俺もユージと一緒に新しい会社で働くわ!!」

と言って聞かなかったが、俺は必死に止めた。

「森本、それはアカン! お前はエサカ運送に残れ。

今、俺とお前が抜けたら、

中村社長や浅井部長や他のメンバーに迷惑をかける。

それくらいお前にだって分かるやろ。

そんな事は絶対したくない。 分かってくれ!!」

「分かるけど、お前のいないエサカ運送で働きたくない・・・」

「お前ももう28歳や。 何を子どもみたいなことを言ってるんや・・・

お前はエサカ運送に残って、俺の代わりに浅井部長を支えてあげてくれ。

あと、秋田ら後輩の教育も残ってる・・・」

森本は、最後の方は半泣きになっていたが、

アイツとは高校時代からの付き合いだ。

最後は、俺の気持ちを理解してくれた。

そして、もちろん浅井部長にも感謝している。

浅井部長には本当に厳しく育てられた。

入社当初は、あの厳しさに理解出来ない時もあったが、

今では感謝の気持ちしかない。

森本は未だに浅井部長に苦手意識があるみたいだが、

昔に比べて最近は浅井部長に理解を示しつつある。

アイツも俺と同じ28歳だ。

いつまでも、浅井部長に反抗している年ではない。

浅井部長に報告する時は、中村社長に報告するときよりも緊張したが、

浅井部長らしく熱いメッセージをくれた。

「起業するんやな・・・

やるからにはトコトンやれ!

その代わり、失敗してエサカ運送に帰ってきてもお前の居場所はもうないぞ!

それくらいの覚悟でやるなら俺はトコトン応援してやる!!

俺が面倒見たほとんどの人間がすぐに辞めていったけど、

お前は本当に俺の教えをよく理解してくれた。

お前は俺の厳しい教えに本当によく耐えた。

お前は俺の最高傑作や・・・ 」

浅井部長らしい激励だった。

俺の胸は熱くなった・・・

その27.へ続く・・・